プロジェクトストーリー

『個の量産』を実現するマルチステーションマシニングセル

『個の量産』を実現するマルチステーションマシニングセル

MC20 開発プロジェクト

  • 開発部 半田 章
  • 制御ICT開発部 渡部 修一

大きな可能性を秘めたニューマシン

MC20は、複数の加工モジュールを組み合わせて、加工工程の最適配分を可能にする「マルチステーションマシニングセル」。加工工程の組み合わせ次第で、今までの自動盤に比べ、大きく生産性を向上させることができる機械です。2012年1月、バー材自動盤の生産性と使いやすさを超える、素形材加工機を作ろうと開発プロジェクトが発足。それは21世紀のモノづくりに向けた機械に挑戦し、標準化と個性化(『個の量産』)という相反する2つを統合・昇華した未知への挑戦でした。そこで開発に参加し、核となる役割を担った2人のメンバーを通じて、MC20開発プロジェクトストーリーを追いました。

プロジェクト年表 プロジェクト年表

経営統合のシナジー効果をアピール

半田 章

経営統合のシナジー効果をアピール

プロジェクト発足の前年には、シチズンマシナリーとミヤノの二社が合併し新体制がスタート。そこで、社内や外部に対して統合のメリットを強くアピールしたいという背景がありました。それを具現化するため、「従来の機種に捉われない、新発想の製品を生み出そう」という目的で、現在半田が所属する開発企画部(当時)がつくられ、そこが中心となって、これまで新機種開発を担当していた渡部の制御開発部(当時)、その他の部門と連携しながら、新たなアプローチによるMC20の開発が進められました。

「MC20は自動盤メーカーである当社が、本格的な素形材加工機を作り上げようという目標を掲げ、開発した意欲作」と半田は話します。
渡部は当時を振り返り、「モジュールのバリエーション増、生産性と使いやすさの追求、メンテナンス性の向上といった課題をチーム一丸となって図っていきました」
開発ではモジュール設計による部品品種の削減、タブレットを活用した遠隔地からの各種機能を搭載するなどの課題に挑戦しました。バー材加工から、素形材加工への生産シフトもあり、旋削加工以外の加工モジュール搭載による複合加工機をつくり、飛躍的な生産性の向上を目指しました。

ハードとソフトの両輪で開発を推進

渡部 修一

ハードとソフトの両輪で開発を推進

半田は「今まで挑戦したことがない分野の機械でしたから、生みの苦しみは当然ありました」と当時を振り返りました。
「今までは機械の仕様を満たすところまでが私の任務でしたが、今回は、完成体を最終的にお客様のもとに届けるためにさらに多くの労力が必要になりました。チームとして今までにない未知のプロセスでの開発。開発のスキルだけでなく、チームが同じものを共有し、同じ方向に進んでいく。そこをメンバー全員で乗り越え、克服するのが一番苦労した点でした」

「今まで携わってきた機械とは性質が全く異なることもあり、開発中は問題が起こる度、現場に呼び出されることもありました」と、渡部は当時のエピソードを紹介。二人は、お互いハードとソフトという側面から支え合い、両輪となって完成へと導いていったのです。

MC20をシリーズ化。さらなる拡販を図る

MC20初出荷時の記念写真

MC20をシリーズ化。
さらなる拡販を図る

プロジェクト中は、あっという間に時間が過ぎたと語る渡部。「新しいジャンルの機械を作るという初の試みは、非常にやりがいがありました」
同時にお客様との機械の使い方に関するやりとりを通して、「距離が縮まり、お客様の反応と生の声がやりがいにつながっていきました。お客様からは、様々な可能性を秘めたおもしろそうな機械だという意見もいただいています」
「お客様からは、従来の生産設備と比較して、専有面積が非常に小さくなったとの評価を得ました」と手応えを感じた半田は、「1機種だけだった製品を、シリーズ化。第2弾として4つの加工ステーションに工程群を最適配分したMC20IVをリリースしました。今後も拡販を行っていきたい」と抱負を語ります。

次世代型加工システムMC20

MC20は、3基の加工モジュールの組み合わせによるマルチステーション化で様々な工程レイアウトに対応。マルチステーションマシニングセルと呼ばれています。加工工程を最適配分することで、超高生産を可能にし、フレキシブルな加工プロセスフローに対するソフトウェアにより、『個の量産』を実現。
MC20はシリーズ化され、第2弾として4つの加工ステーションに工程群を最適配分したMC20IVも登場しています。

当社を志望する
学生の皆さんへ

最後に、このサイトを訪問していただいた学生の皆さんに向け、メンバーからメッセージをもらいました。
「最も大事なことは人の話を聞くこと」と半田。会社で仕事をする上では、人といかに思いを共有して先に進むかが重要になります。「自分を理解してもらうためには、まず人の話を聞き、自分の中で咀嚼して相手の考えを理解することです。コミュニケーション力を高める努力を怠らないでください」
渡部は「今年で入社8年目ですが、自分自身一番変化したのは、仕事をしていくうちに責任感が強くなったことです。そうすると、機械に対する愛着も湧いてきて、やがて楽しくなってくる。開発していると予想していないことが得てして起こりますが、それを乗り越えることで、自分の成長も実感できると思います。学生の皆さんも、一緒に成長していきましょう」

開発担当者コメント

  • より一層広い視野に立った新製品開発を推進

    開発部半田 章
    部門を越え、皆と力を合わせ、仕事を進行させていきました。担当は主に機械設計でしたが、プロジェクトのまとめ役として、全体的な進捗状況なども管理しながら、技術的な所はそれぞれ専門の担当に任せるという姿勢で、ある期限の中で仕上げていくスタイルを実行しました。このプロジェクトはあくまでスタートです。今後はより一層広い視野に立った新製品開発を推し進めていきます。
  • お客様の意見・要望を大切に、製品開発を検討

    制御ICT開発部渡部 修一
    私は、機械の動きをソフトウェアで制御するといったソフト的な仕事を担当しました。今回のプロジェクトを通し、お客様との接点が増えました。お客様と距離感が縮まったことで、さらに視野が広がり、その点でもプロジェクトに参加したやりがいを感じています。今後もお客様の意見や要望に耳を傾け、コミュニケーションを密にして、製品開発の検討をしていこうと考えています。

※掲載情報は取材当時